挑戦を後押しした”レジェンド”小野伸二のアドバイス
セレッソ大阪でもチームメイトだった楠神とニコルズ【写真:Taka Uematsu】
とはいえ、初めての海外でのプレーにもちろん不安が無いわけではない。「まだまだ、何もわからないことだらけ。今日もミーティングに入ったが、英語なんで何となくの雰囲気でしか分からない。そういうところは、これからどんどん勉強してやっていきたい」。言葉の不安を抱えつつも、自分で何とか努力していかなければならないことは充分に分かっている。
今回の楠神のWSW移籍は、何だか色々とつながっている。この移籍はそれらの縁が導いたのではないかとも思いたくなるくらいだ。まずは、川崎、そしてセレッソでもチームメイトだった田中祐介の存在。
「『いいチームだよ』と教えてくれたし、いろいろ日本とは違って戸惑うこともあるけど、すごくいい経験になるって言ってくれた。彼(田中)がそういうのであればいいチームなんだろうと思った」。
さらには、WSWの攻撃の中心を担う豪州代表経験者のMFミッチ・ニコルズも、セレッソ大阪時代のチームメイトだ。「ミッチ(・ニコルズ)とは、セレッソ時代から結構一緒にいて仲が良かったので、彼がいるっていうのは大きいし入りやすいと思う。(ミッチに通訳をしてもらうか?)どうだろう、ミッチは、ほとんど喋れへんから(笑)」。
そして、当然の流れで話はクラブのレジェンド・小野伸二に及んだ。「クラブハウスの至る所に伸二さんの写真があるし、このチームのレジェンドなんだなというのは、今日の初日だけでもすごく感じる」と、滞在初日にして楠神は小野伸二のレガシーを感じ取った。そして、それをこれからも様々な形で実感していくことになる。
未だに残る”Shinji Ono”の残像がプレッシャーになることはないかとの少し意地悪な質問には、「いやいや、あの選手はもう次元が違うので、そこと張り合っても。プレースタイルも違うし、自分は自分だから」とチラリとプライドを覗かせた。
その小野にも今回の移籍は直接報告済み。「伸二さんにも『本当にいい経験になる。戸惑うこともあるだろうけど頑張れ』と言ってもらえた」。WSWの初代レジェンドにして日本が誇る天才からのアドバイスは、楠神の挑戦の決意を大きく後押ししたに違いない。