結果よりも重視すべき、選手の育成
日本のW杯での最高成績はベスト16。サッカーにおいては発展途上の国だ。そのような状況下で、五輪における“良い結果”とはメダル獲得ではない。2年後、6年後のW杯に向けて、どれだけ選手を育成できるかどうかだ。
アジア予選で植田直通とセンターバックでコンビを組んでいた岩波拓也が出場していたなら、どれだけ経験を積むことができただろうか。日本サッカー全体で守備の課題が浮き彫りになっている現状で、この3試合を経験できなかったのは極めて残念だ。
年齢制限のある大会は、育成を主目的にすべきだが、とかく日本では結果至上主義に陥りやすい。通過点であるはずの大会で過度に結果を求めた結果、18歳の選手が高校サッカーで敗退すると「引退」を口にする。感動などもってのほかで、悲しさしかない。
日本サッカーがさらにレベルを上げていくためには、結果の捉え方を変えていかなくてはならない。どれだけの選手がプロになれたか、A代表に選ばれたか、W杯で活躍できたか――。育成年代においては、当たり前だが選手の成長と育成を“結果”として捉えるべきだ。
そう考えると、果たしてOAという制度を使う必要があるのか、というところに行き着く。五輪でメダルを獲得することができれば、それは喜ばしいことだが、それ以上に重要なのは、2年後や6年後のW杯で戦える選手がどれだけ育ったかどうかである。
手倉森ジャパンは、グループステージ敗退だった。だが、このチームの結果は数年後にわかるのである。
(文:植田路生)
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