戦術的な上積みを求めるなら、ボールを奪う守備
前線でうまくボールを引出していた興梠慎三【写真:Getty Images】
戦術的な上積みを求めるなら、ボールを奪う守備になる。ハーフウェイラインで待ち受ける守備は機能していた。ラインコントロールでコンパクトなブロックを作り、ナイジェリアの攻め手を縦への浮き球に絞り込めていた。ラインコントロールで藤春が遅れ気味ではあったが、そこは修正可能だろう。ただ、日本が追いかける展開において、待ち受け守備だけでは厳しかった。敵陣に踏み込んでプレッシャーをかけていく守備が足りなかった。
縦パスのミスも多かった。ナイジェリアがさほど前からプレスしてきたわけでもないので、パスミスが続いてリズムに乗り切れなかったのはもったいない。
攻撃では興梠の数秒のタメが効いていて、間延びせずに良い距離感を作れている。大島、南野が絡んだときのコンビネーション、SBのオーバーラップ、浅野を投入してからのスピーディーな攻め込みなど、多くのチャンスを作れていた。
全体的には良いプレーができていて、やれることはやっている。それでも勝てなかったのはナイジェリアが強かったのか、それとも日本が想定したより五輪はずっとハイレベルなのか、次戦以降にはっきりしてくるのではないか。
(文:西部謙司)
【了】