堅調な運営。「育てて売るサイクル」
J1残留に必要な戦力を保持しながら最低限の人気を失わずにクラブを維持するという観点では、Jクラブ化以降、堅調に推移してきたと言っていい。
今年のファーストステージにかぎれば、J1の中位で観客動員も一試合平均2万人台。J1に初めて昇格した2000年と比べて、成績は横ばい、観客動員は増加している。17年間のスパンで考えれば、大きな成長とは言えないまでも、場を維持できているとは言えるだろう。
こうした結果を残している要因は、育てて売るサイクルによる編成策にあるのではないか。馬場憂太や梶山陽平以降、下部組織から昇格してくる選手の質が上がり、また原東京以降は年代別代表やA代表経験者が新卒あるいは移籍で加入するようになり、彼らを「売れる選手」に育てて、欧州の市場に参入できるようになった。
Jリーグ放映権料の高騰で東京にどのくらいの分配がなされるかはとらぬ狸の皮算用だから、基本的にはこれまでの緊縮財政をつづけると考えれば、育成を重視する方針になるのはやむをえないところなのかもしれない。
「育てて売る」の重要なところは、主力選手を欧州に売って移籍金を得るだけでなく、ポジションを空けてそこを次代の選手に受け継がせ、世代交替を促すところにもある。有能な選手はチーム強化に欠かせない存在だが、いっぽうで若手にとっての蓋ともなる。
もちろん、主軸を全部売ってしまうとチームの基盤がなくなるから、常にバランスを保たなくてはならないが、そのうえで、この育てて売る回転で適切な年齢構成を実現することも、クラブを維持していくうえでは重要だ。
ポジションの偏りは別にして、年齡分布という点では、今シーズンの新加入選手はバランスがとれていた。2016年1月時点で30歳から18歳まで、2~4歳おきに世代の層ができていたのだ。
************************
1985年3月2日生まれ
ハ・デソン
************************
1987年7月11日生まれ
秋元陽太
1987年12月5日生まれ
阿部拓馬
************************
1990年2月22日生まれ
水沼宏太
************************
1994年4月5日生まれ
室屋成
1994年12月28日生まれ
ユ・インス
************************
1997年8月5日生まれ
柳貴博
************************
こういった視点は今後も重要だろう。