日本のチームに足りないプレッシャーと危機感
たしかに当時のJリーグにはブラジル人選手も多く、ドゥンガにとっては心強いことであったかもしれない。しかしドゥンガはJリーグに加わり驚かされた点を自らの著書、「勝者の条件」の中で触れている。
『日本のチームに入って驚いたのは、プレッシャーがないことだった。私がこれまで歩んできたサッカー人生は、常に周囲からのプレッシャーのなかにあった。所属するクラブ、あるいはサッカーの環境では、常にプレッシャーにさらされ、その中で勝つことを義務づけられてきたのだ。
ところが、日本のチームに入ってから練習などで実際のプレーを見ていると、彼らにはプレッシャーの中で戦っているという危機感がない。私がこれまでのサッカー人生の中で強いられてきた、勝つということに対する姿勢というものが感じられなかった』
強いリーダーシップ、キャプテンシー。ポルトガル語でいう“リデランサ”こそがドゥンガをもっともよく表す言葉と言えるだろう。
ドゥンガはそれでも自らのスタイルを日本においても貫く。勝利を目指すため、強いリーダーシップを発揮するのだ。
おそらく多くの日本人が思い出す、ドゥンガの印象とは、試合中、怒鳴りながら周りの選手を鼓舞する姿ではないだろうか。
(取材・文:竹澤哲)