「形状記憶は俺には合わない」
──247.5グラム。実は、今回試し履きをお願いした6モデルの中では最も重たいモデルでございました。履いてみた印象はいかがですか?
マスター永井 「(もそもそもそと試着)う~ん‥‥」
──いかがなさいましたか?
マスター永井 「こりゃダメだ」
──え?
マスター永井 「俺には合わない。まったく合わない」
──どこがご不満なのでございましょう。
マスター永井 「甲の部分だね。これ、形状記憶っていうか、形崩れしないことが狙いなのかな。俺みたいにスパイクにフィット感を求めるタイプからすると、まったくしっくりこない。甲の部分の形が決まっちゃってて、スパイクの中で指先が泳いじゃう感じ。まあ、最初からこの形がジャストフィットする人はいいんだろうけど」
──ずいぶんと手厳しい。ひょっとして、ナイキがお嫌いですか?
マスター永井 「こらこらこら。合わないっていうのは、あくまでもこのモデルについて。てか、ナイキは昔、俺の師匠のラモスさんが履いてた時期もあったし、ナイキ・ジャパンのA山さんにはバルセロナ・オリンピック予選のころからお世話になってるんだから」
──A山さんには我々もお世話になっておりまして。あ、それはそうと、マスター・ナガイが初めてサッカー・マガジンにカラーで登場した85年11月号の表紙、まだ日本国籍を取る前のルイ・ラモス・ソブリーニョさんでございます。ご縁がおありなんですね。
マスター永井 「へ~え」
──ちなみに、この時のラモスさんが履いてるスパイクは、アシックスの固定式でラインは黄色。かなり使い込んでいるようにもお見受けできますので、推察するに、80年代の名機インジェクターXLではないかと。あのカーフ革。絶品でございました。
マスター永井 「懐かしいねえ。固定式がインジェクターで、取替式がシャペ」