あまりに性急だった再就任の決定
両者のコメントから見えるのは、少なくとも当時の会長は監督としての実績を評価していたのではなく、人物として高く評価し、ドゥンガの持つ、強い“リデランサ(リーダーシップ)”に期待している。一方のドゥンガはある程度時間をかけてブラジルサッカーへの変革に向かい合おうとしていた。
それにしてもドゥンガ監督再就任の決定にいたる経緯はあまりに早急であったのではないか。敗退の原因などの分析もしないうちに決めたのは、CBFが責任追求されるのを恐れ、そのための時間を与えないようにしたととられても不思議ではなかった。また新監督の選定についても十分に議論が尽くされたのか疑問が残る。やはりおざなりな処置であったことは否めないようだ。
そしてドゥンガは就任後2年で、しかも十分なメンバーが招集できない環境の中で結果を問われ解任された。このような形で切られるとは、少なくともドゥンガは考えていなかったはずだ。
会長は2015年から、マルコ・ポロ・デル・ネロに替わっているが、なぜこのタイミングだったのか。新会長は解任のタイミングを、まるで待ち受けていたかのようだ。少しうがった見方をすれば、オリンピック代表監督も兼任するドゥンガが、ネイマールが出場するオリンピックで結果を出されては困るというふうにもとれる。
解任後のドゥンガのコメントは公式には出されていない。そのこと自体、志半ばで解任されたドゥンガの無念さを想像させるものだ。
(取材・文:竹澤哲)