最もスピードがあるのはシャビ・エルナンデス
――足ではなく、頭の回転の速さ。
P 足の速い選手はもちろん素晴らしいが、頭の回転が速い方がずっと大切だ。理想的な選手を挙げるとすれば、シャビ・エルナンデス一択だね。フィジカル的にはまったくスピーディーではないが、自分にとっては世界で最もスピードのある選手だよ。彼はほかの選手には不可能な速度でピッチ上の情報を処理でき、誰も対応できない次の一手を打てる。
頭の回転が速い選手というのは、そうしてチーム全体のプレースピードを増すことが可能なんだ。そして、その後に実行するトランジションで必要となるのが、フィジカルのドン、つまりは足の速い選手となる。
――ではグアルディオラのバルセロナは、シャビ、アンドレス・イニエスタ、リオネル・メッシといった才能なしでも、あのような偉業を達成できたと思いますか?
P あのような次元の話であればノーだね。例えばアトレティコは良いパフォーマンスを見せているが、耽美的な観点からするとまったく美しくない。だがグアルディオラのバルサは良いパフォーマンスを見せ、結果を手にし、なおかつ美しかった。それはメッシ、シャビ、イニエスタのほか、最高のレベルにあったペドロ・ロドリゲス、カルレス・プジョール、ジェラール・ピケらなくしては成り立たなかったはずだ。
美しいプレーを見せながら結果を収めるためには、稀有な才能を有する選手たちが絶対的に必要となり、グアルディオラはその幸運を手にしていた。一方ラージョであれば、多くの試合で良いパフォーマンスを見せられ、美しさもある。しかし負けてしまうんだよ(笑)。
人々からはみっともないパフォーマンスでも勝たなくてはならないと文句を言われるが、私の考えは異なる。ほかのチームであれば、勝利のために美しさなど必要ないのかもしれないが、ラージョは逆であるべきなんだ。チームは美しさがなければ負ける運命にあり、あったとしても同様に土をつけられる。それでも美しくある方が、より勝利を重ねていける。それが私の率いるチームなわけだ。