「100回あったら絶対に100回詰めないといけない場面」
あっさりと浦和レッズにおけるシーズン最多得点記録を更新した。1-1のまま白熱の攻防が続いた鹿島アントラーズとのセカンドステージ第5節。決着をつけたのはレッズのワントップ、李忠成の左足だった。
後半28分に自陣から発動されたカウンター。MF青木拓矢のパスを受けたMF武藤雄樹が左サイドを疾走する。そのとき、李忠成はアントラーズのDFファン・ソッコと虚々実々の駆け引きを繰り広げていた。
ファン・ソッコの姿を左斜め前方にとらえながら、中央を相手ゴール前へ駆けあがる。そして、武藤がペナルティーエリア内に入り、左足を振り抜こうとした刹那にスピードをワンランクあげる。
同時にファン・ソッコの背後を突き、そのままニアサイドへ加速。それまで頻繁に首を振りながら李忠成の姿を確認していたファン・ソッコは、あっという間にマークすべき男を見失ってしまった。
武藤はパスではなくシュートを選択している。それでもなぜ背番号「20」は必死にスプリントし、迷うことなくゴール前へと詰めていったのか。誇らしげな表情を浮かべながら、李忠成が胸を張った。
「フォワードならば、あそこは100回あったら絶対に100回詰めないといけない場面。もちろん100回狙って1回入るかどうかだけど、それが運よくゴールに結びついたということで、今日はサッカーの神様にありがとうと言いたい」
武藤の強烈なシュートはGK曽ヶ端準のほぼ正面へ飛んだが、まもなく36歳を迎える百戦錬磨のベテランがこれをファンブル。さらにこぼれ球の処理を誤ったところへ、李忠成がトップスピードで詰めてきた。
曽ヶ端の眼前でボールに左足を引っかけてネットを揺らす。殊勲の逆転弾は今シーズン7得点目。サウサンプトンから完全移籍した2014シーズンにマークした6得点を、12試合を残した段階で超えた。