既に現地ファンから懐疑的な目で見られている浅野
また一人欧州へ……。
浅野拓磨は先週、涙ながらにサンフレッチェ広島への別れを告げた。リオ五輪への参加とその後のアーセナル移籍を前にして、サンフレッチェでのラストゲームをゴールで飾ることはできなかったが、こういった場合の例に漏れず感動的な別れのシーンとなった。
Jリーグのこの季節には、同じようなシーンが日常茶飯事となりつつある。このリーグでプレーする若い選手たちが、「夢を現実にするため」、「日本サッカーの成長を助けるため」、その他諸々の理由によりシーズン半ばでの欧州移籍を実行に移すためだ。
もちろん、そういった選手たちが短期間で帰国するパターンも多い。アーセナルファンの大半はすでに、浅野はノースロンドンで失敗に終わると決めてかかっている。アーセン・ヴェンゲルがトップクラスのFW補強に大金をつぎ込まないことに対する不満から来るものでもあるが、浅野自身がまだ本当に高いレベルの付近ですら力を証明していないためでもある。
浅野にとってはフェアな評価ではないが、過去には何人ものフル代表やU-23代表の選手たちが欧州で成功を掴めずに帰ってきた。永井謙佑や大津祐樹、柿谷曜一朗や山口蛍、宇佐美貴史といった選手たちの例に続くことになりたくないのであれば、浅野もそういう見方に慣れていかなければならないだろう(もちろん宇佐美は、二度目のチャンスを与えられたところだが…)。
ミハエル・ミキッチは、元チームメートとなった浅野がイングランドに到着してからは、面の皮を十分に厚くしなければならないとよく分かっている。現地の言葉が理解できないことは、移籍直後の浅野にとってはアドバンテージになるかもしれない。冗談交じりではあるが、ミキッチがそう語るのには理由がある。