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サンパオリと歩み始める“エメリ後”のセビージャ。EL三連覇からの再出発。清武の居場所は?

text by ロシオ・ゲバラ photo by Getty Images

清武の起用法は? 痛い負傷離脱

清武弘嗣
2016年夏、セビージャに移籍加入した清武弘嗣【写真:Getty Images】

 とはいえ監督を裁くのは、当然のことながら結果だ。堅実的なフットボールを売りとし、ときに消極的過ぎると批判を浴びたエメリも、EL制覇を成し遂げたことによってファンの信頼を勝ち取った。サンパオリが情熱的で、だからこそ手厳しいアンダルシアの人々の気質に沿えるかどうかは、結局何を成し遂げたかに依存する。

 勇敢かつ知的なマタドールたるアルゼンチン人指揮官は、見事な舞を見せながら“La hora de la verdad(真実の瞬間、闘牛にとどめを刺すとき)”を迎えられるのだろうか。その瞬間はセビージャにおいて、CLでの健闘及び来季の同大会出場権獲得、はたまたEL四連覇、コパ・デル・レイ優勝などを意味するが、そうなればファンは万雷の拍手を浴びせるはずである。

 さて、日本の読者にとって気になるのは清武の扱いだろうが、現状は厳しいものと言わざるを得ないだろう。サンパオリがピッチ中央に配置する攻撃的選手で、まず信頼を置くのは同胞のF・バスケス、J・コレア、そしてガンソと、自ら獲得を要請した選手たちとなるだろう。

 そのことに加え、清武がプレシーズン開始直後に右内転筋を負傷してしまったことは、戦術理解及び自身をアピールすることにおいて、深刻な出遅れとなった可能性がある。それでも、サンパオリはすべての選手のプレーを一度見たいと話しているし、彼のシステム(特に3バック使用時)は中盤の選手を多用するものだ。CL、リーガエスパニョーラ、コパを並行して戦っていく上で、日本代表MFにもチャンスは訪れるはずである。

 私は負傷直後の清武と話す機会を持ったが、拙い英語でのコミュニケーションでも意思の疎通に問題はなく、何より彼の知的さや堂々とした振る舞いに感銘を受けた。

 セビージャの人々は彼をキヨ(Kiyo)と呼ぶが、これは子供を主とした親しい人への呼びかけに使うアンダルシア方言、キヨ(Quiyo、児童や子供などを意味するChiquilloに由来)にかけたもの。アトレティコ・マドリーのフェルナンド・トーレスはニーニョ(子供、少年)の愛称で彼らのファンから愛されているが、キヨも私たちの愛する子となることを願っている。

(取材・文:ロシオ・ゲバラ【セビージャ】/翻訳:江間慎一郎)

【了】

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