「どうせ一番ダメなスパイクだろうと思ったけど…」
──マスターの驚きぶりが想定外でございます。
マスター永井 「いや、ちょっと、待って。これ、マジでいいよ。俺、基本的には人工皮革のスパイクってあんまり好きじゃないのよ。というのは、やっぱり天然皮革に比べると、馴染んでくれないというか、フィットしてくれないから」
──わかります。そういう方、依然として少なくありません。余談ではございますが、今後キング・ギアではそういった方、中でも黒いスパイクにこだわった方を取材する『黒革の事情』という企画をスタートさせる予定でございます。
マスター永井 「ま、確かに少数派にはなってきてるから、面白いって言えば面白いかもね。実際、去年までお世話になってたプーマでも、派手なカラーリングのスパイクを履いてほしがってたし」
──メーカーによっては、黒い天然皮革のスパイクを使用する選手にはギャラは出せない、というところもあるようでございます。元日本代表のF選手などは、それでも黒い天然皮革のスパイクが履きたいと、ギャラを返上してまで使用していたとか。
マスター永井 「あー、わかるわかる。でもね、このスパイクはいいわ。足を入れた途端に、包み込んでくれるような感覚があるっていうか、人工皮革のイヤな部分をまるで感じさせないのよ」
──アンダー・アーマー。いまものすごい勢いで伸びてるメーカーのようですが、その理由がわかった感じですか?
マスター永井 「だね。正直ね、どうせ一番ダメなスパイクだろうと思って最初に選んだ部分もあったわけよ。ほら、いままでいろんなメーカーがサッカー・スパイクの世界に参入してきたけど、どこも最初の時期っていうのはひどかったから」
──ぶっちゃけ、そうですね。やっぱり、スパイク作りにはノウハウが必要なようで。
マスター永井 「なのよ。なので結局、俺なんかはプーマに落ち着いてた部分があるわけだから」