チームの継続的な発展は見られず。クラブ全体の課題
「今までの総理大臣より知名度があるんじゃないか」というサッカーファンもいるくらいの絶大な知名度を背景にメディア露出を劇的に高め、在任中にJ1ライセンスに必要な周辺施設が整えられたのは事実である。
しかし、それらがすべてラモス氏の功績かというと疑問がある。仮にそうだとしても功罪すべてを差し引きするとクラブとしてどちらのポイントが勝るのか。目先のことだけではなく、長い目でクラブの継続・発展を考えるのならば自ずと答えは出るのではないだろうか。
何より私が一番憂えていたのはチームに対しての継続性がなく、ほとんど積み上げが見られなかったことだ。これは何もラモス氏だけに限ったことではなく、FC岐阜というクラブ全体にとっての課題でもある。
いずれにせよ「監督には二通りしかない。クビになった監督と、これからクビになる監督」(ハワード・ウィルキンソン:元イングランド代表監督)なのだ。
現役時代は素晴らしい選手だったラモス瑠偉氏。「良き競馬の騎手になるために、かつて名馬であったという実績は必要ない」と言ったのはアリゴ・サッキだが、「千里の馬は常にあれども、伯楽は常にはあらず」という故事の意味がFC岐阜に重くのしかかっている今回の解任劇ではある。
(取材・文:ミカミカンタ)
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