EUROは英国勢が躍進。出遅れたスコットランド
先ごろ閉幕したユーロ2016は、イングランド以下、ウェールズ、北アイルランド、アイルランド共和国の英国圏4チームが揃ってグループリーグ突破を果たすという歴史的大会となった。そうなると、唯一不在で出遅れた格好のスコットランドへのシンパシーもしばし募るというものだが、実はそう捨てたものでもないのは、予選リーグで戦った顔ぶれを振り返ればわかるはず。
世界チャンピオンのドイツ、レヴァンドフスキ以下の強力アタック陣を擁するポーランドらを向こうに回して、最終戦直前まで本大会出場の可能性を残すまでに堂々と渡り合ったのだから、間違っても非力呼ばわりされる筋合いはない。
実際、世代交代の過渡期にある現在のチーム状態で、熱っぽいタータン・アーミー(スコットランドサポーターの通称)の希望をつなぎとめて見せた事実は、優勝したポルトガルに準決勝で敗れたウェールズと同等に近い評価を受けても罰は当たるまい?!
ただ、あと一歩で、あるいはここぞという決め試合で勝ち切れないという、ある意味での“潔さ”(勝負弱さともいう?)は、この国の“伝統”なのかもしれないという切なさも頭をよぎる。
「伝統」? こう言い換えてみよう。スコットランドならではの「燃え上がるプライドの行き着く先」。つまりは、最大にして永遠のライバル、イングランドの存在…。
イングランドとスコットランド――。骨肉相食むともいうべき有史以来の闘争さながらに、このスポーツの世界でも両国の火花散る“果たし合い”の歴史は長く、かつ象徴的なエピソードに満ちている。代表チームの発足はほぼ同時期、世界初の代表戦(1872年:0-0のドロー)を歴史にとどめ、そして実は何よりも、いずれが真の“母国”かという論争が絶えることもない。この相手にだけはどうしても負けたくない、負けられない――。そんな宿命を背負ってきた、それこそ触れただけで火傷しそうな仲なのである。