過小評価すべきでないポルトガルの優勝
参加国が24ヶ国に拡大したことで、決勝戦に到達するまでの試合数も増え、最後までベストメンバーがベストコンディションで戦えない、という状況が生まれると「面白みを欠く」という声もあった。
どの意見も一理あるとは思うが、最終的に、決勝を戦った2者は同じ試合数をこなしている。準決勝戦が、フランスはポルトガルより1日遅く、決勝までの回復時間が短かったということは、この大詰めの時期にあって少なくない差ではあるが、ポルトガルも、ラウンド16のクロアチア戦という肝の一戦を中2日で戦っている。
また、ポルトガルはセンターバックのペペや左SBのゲレイロといった主力が大会中に負傷しつつも、サブメンバーで補いながら、フィールドプレーヤー20人全員を使って勝ち上がってきた。フランスは、累積で欠場になった選手はいたが怪我人はなく、コンディションとしてはポルトガルより良好だったが、主力を極力固定して戦ったため、ジャレ、シュナイデルラン、ディーニュの3人は一度もピッチを踏むことなく大会を終えている。
つまりはポルトガルのほうが、より多くのオプションで長丁場のトーナメントを戦い抜く力があったとも言えるのだ。しかも決勝戦では大エースのロナウドが早々に退場するという不測の事態まで乗り越えたのだから、彼らの勝利を過小評価すべきではない。
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