すっかりEUROムードの消えたフランス
夏草や兵どもが夢の跡――
1ヶ月間、サッカーに明け暮れたEUROが終わったいまのフランスは、まさにこんな感じだ。自国の国旗カラーを身にまとって色とりどりだった各国サポーターは去り、現地の人たちはすっかりバカンスモードに入って、ファンゾーンが設けられていたエッフェル塔の周辺も、4日後の革命記念日にはコンサート会場にお色直ししていた。
EUROが終わってまだ10日ほどしか経っていないとは信じられないほど、街はいつもの様子に戻っている。
もしフランスが優勝していたら、お祭りムードももう少しは続いていたかもしれない。しかし決勝戦で終了のホイッスルが鳴った瞬間、華やかにきらめいていたネオンの灯りがパっと一斉に消えたかのごとく、宴は終焉を迎えた。
あまりに酷だったのは、出だしはファンも半信半疑だったのが、準々決勝でアイスランドに5-2で大勝し、準決勝でW杯勝者のドイツも倒して期待がピークに達していたところで一気に奈落の底へと突き落とされた、この顛末だ。
フランス人サポーターは「こんな結末、信じられない……」と呆然としていたし、地元記者たちは「決勝で負けるのはあまりに辛すぎる」と顔をゆがめた。中には、「あんな勝ち方で優勝者として恥ずかしくないのか」とポルトガルをなじる人もいた。
ファンや識者の中にも、90分間での勝利が準決勝のウェールズ戦だけ、というポルトガルが勝つことを「疑問に思う」と感じていた人も少なくなかった。