どっしりとした香川。前に行く力を意識
ザンクトパウリ戦は[4-3-3]で、左SBのシュメルツァーが上がって3バックの形を取る可変式のものだ。ミュンヘン戦は[4-2-3-1]である。どちらもボールを大事にしようとするスタイルで、昨季のドルトムントの基本戦術である。
香川真司は、ザンクトパウリ戦ではカストロと並んで右のインサイドハーフで先発する。カストロが下がり気味のポジションを取ることもあり、実質的にトップ下と言える。ミュンヘン戦ではローデ、メリーノの2ボランチを背に、トップ下での先発となった。どちらの試合も前半のみの出場である。
短期合宿中に香川のメディア対応はなく、その辺りのことについて本人から直接聞くことはできなかった。BVBの広報により、対応はトゥヘルとシュメルツァーといった一部に限られた。だが、日本でのトレーニングで、しっかりと体を作ってきた香川のコンディションは良好のようだ。
ザンクトパウリ戦の前半だけを見ても、日本代表として出場した6月のブルガリア戦で負った怪我の影響を感じさせなかった。前にガツガツとプレスに行き、後ろにも下がりながら、カストロとローデと組んだ中盤を広く動く。ボールを受ける前から次の出しどころが見えていて、大きいサイドチェンジも繰り出すなど、簡潔な判断が目立った。
それだけでなく、昨季の終盤と比べて香川の体は、一回りどっしりとした印象がある。太ももがしっかりとして、重心が低くなったようだ。昨季4月のシュトゥットガルト戦の試合後には、ヨーロッパで「前に速く、ひとりである程度打開できる選手」に刺激を受けていることを明かした。その「前に行く力」を身につけようとする、追求の過程の現れなのだろうか。