八百長撲滅へ行動開始。しかしファンの目は悲観的
解散したビッサイ・ニンビン【写真:宇佐美淳】
三浦監督の後任として、ベトナム代表監督に就任したグエン・フー・タン氏にもかつて八百長疑惑があった。
当時、ソンラム・ゲアン(SLNA)を率いていた同氏は、優勝がかかった2000-2001シーズンのリーグ最終節で、SLNA首脳陣に指示により、他チームとの間で不当な金銭の受け渡しを行い、チームが勝つように仕向けたと疑われた。SLNAの首脳陣と同氏は当局の事情聴取を受けたが、結局、証拠不十分で不起訴となった。
八百長が発覚し逮捕者が出たケースでは、選手が永久追放となるだけでなく、最悪の場合、クラブ自体が解散となることもある。
2014シーズンのリーグ戦で9人もの選手が八百長に関与したビッサイ・ニンビンは、シーズン中にトップチームを解散。同クラブは、前年にベトナムカップを制した強豪だった。
こうした例は氷山のほんの一角にすぎない。ベトナムでは、毎年のように違法サッカー賭博や八百長絡みの事件が起きている。Vリーグを運営するベトナムプロサッカー株式会社(VPF)は今年、スポーツ賭博のデータなどを分析・提供するスイスのSportradar社と提携。
八百長撲滅に向けて動き出したが、長い八百長の歴史にすっかり慣れてしまっているメディアやファンは、相変わらず自国リーグに悲観的だ。
前ベトナム代表監督の三浦俊也氏は以前、日本とベトナムサッカーの文化の違いについてインタビューされた際、真っ先に「八百長の存在」を挙げた。これはベトナムだけでなく、東南アジア全体にはびこる問題だが、公正性と健全性を保ち、域内のサッカーを発展させていくためには、各国の協会やリーグ運営組織が本腰をいれて取り組まなければならないだろう。
(取材・文:宇佐美淳【ホーチミン】)
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