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EURO2016 8年前

ポルトガルがEUROを制した4つの理由。美しさよりタフさ優先、ピッチ内外の大改造でたくましく

text by 鰐部哲也 photo by Getty Images

その2:ベテランの名参謀の存在、その3:移民選手との融合

ナニ
ナニ【写真:Getty Images】

 2つ目は、参謀にイリディオ・ヴァレを据えたこと。

 このアシスタントコーチは、ポルトのジュニアチームの監督を長年務め、2011年のU-20W杯ではスター選手がいないメンバーで監督としてポルトガル代表を準優勝に導いている。国内では若手育成に定評のある指導者だ。

 実際、2年前に前代表監督が引責辞任した時には次期代表監督候補として名前が挙がったひとりでもある。今大会で活躍したSBのセドリックやボランチのダニーロは前述したU-20W杯の準優勝メンバーで彼の薫陶を受けている。

 今回のEUROでも若手選手のモチベーターとしてその腕前をいかんなく発揮した。U-20W杯のポルトガル代表と今大会のポルトガル代表のチーム造り、選手起用には共通点があり、チームを指揮するにあたって旧知の仲同士の“アラ還”の経験豊富な指導者が同じ考えを共有できたのは大きかった。

 3つ目は、旧植民地のアフリカ系選手と海外生まれのヨーロッパ系選手との融合に成功したこと。決勝でポルトガルを優勝に導く値千金のゴールを決めたエデル、ダニーロはギニアビサウ出身。ウィリアム・カルヴァーリョはアンゴラ出身。

 ナニはカーボヴェルデ出身で、ジョアン・マリオとエリゼウはポルトガル生まれだが、カーボヴェルデ移民の子。レナト・サンチェスもリスボン生まれだが、父親はサントメ・プリンシペ、母親はカーボヴェルデ出身である。

 一方、アドリエン・シルヴァ、ラファエル・ゲレイロ、アンソニー・ロペスはフランス生まれ。セドリックはドイツ生まれである。蛇足だが、ペペはブラジルからの帰化選手だ。ポルトガル代表がこれだけ移民の子供たちで占められたのは過去に例がないだろう。

 列挙した選手はエデル、ゲレイロとロペスを除いていずれもスポルティング、ポルト、ベンフィカの国内三強のユースで頭角を現してきた選手である。アフリカ系選手の独特のリズムや抜群のボディバランスと優勝経験国生まれのヨーロッパ系選手の勝者のメンタリティが融合し、“ポルトガルナイズ”されて組織化され、バリエーションの抱負さという形で代表に還元されたのもプラスに働いたと言っても過言ではないだろう。

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