パスではなくドリブル。Jの常識を崩す戦い方
マルティノスと齋藤が、意外性とゴールへ向かう積極性のあるプレーでアビスパ守備陣を苦しめていたのは間違いない。38分にはキム・ヒョヌンを抜き去った齋藤が堤俊輔を絶望的な状況に追い込んでマリノスに1-0の先制点をもたらしたが、それ以前の30分頃にも彼は意図を感じさせるプレーを見せ、得意のドリブルを披露。駆け抜けた後にはグレーのユニフォームの選手が何人も置き去りにされていた。
「僕とマナブはどちらも、自分の意志を持ってプレーできる選手だと思います」とマルティノスは語る。「チームのためにプレーすべき時もありますが、何かをトライする必要があるような時もあります。いつも同じことばかりをしていれば研究され、次回の対戦では読まれてしまいますが、僕もマナブも何か違うことをやろうとしていますので、相手にとってはいつも対応が難しくなります」
「監督からは『ドリブルしろ』と言われています。日本ではあまりそういう選手はいなくて、パスばかりですからね。それがJリーグの典型的な戦い方です。パス、パス、パス。ポン、ポン、ポン。ワンタッチ、ツータッチ。
でも僕やマナブはドリブルで相手を1人かわそうとしています。そうすれば相手が1人減る分だけ数的優位になって、そこからパスも出せますからね」
そういうプレーから、1点や2点(あるいは3点)を奪うこともできる。マルティノスや他の選手たちにとって、新たな戦い方は今のところうまく機能している。これから2ndステージを戦っていく中で、よりゴールへ向かう姿勢を強めた新生マリノスに各チームがどう対処していくのか楽しみだ。
(取材・文:ショーン・キャロル)
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