一般誌なら休刊になる記事の捏造。異常なサッカーメディア界
2年ほど前、『Free&Easy』という雑誌が、イラストレーターの安西水丸氏の追悼企画で記事を捏造していたことが発覚したことがあった。これは大きな問題となり、最終的に雑誌は休刊となった。
“ワールドサッカー誌”の世界では、『Free&Easy』と同様の捏造記事が慣習化している。サッカーメディアは特殊な世界であり、出版界と隔絶しているからといって、許されるものではない。
エアインタビューは、その選手や監督のインタビューを読みたいと雑誌を買ってくれた読者に対する冒涜である。さらに、良心的に取材をしている書き手に対する挑戦でもある。
最初にエアインタビューを指摘した『フットボール批評issue 10』でぼくは原稿をこう締めた。
〈出版不況とはよく言われる。販売不振による経費削減でもっとも打撃を受けているのは、取材費が必要なノンフィクションである。ぼくはかつて編集者、そして今はノンフィクション作家として、この業界を20年以上見てきている。以前と比べて明らかに若い書き手が減ったことはその証左になる。
その中でサッカーは例外だ。紙媒体、ネット、多くのメディアが存在し、一定の書き手の数を確保している。その意味で、サッカーメディア出身の書き手がノンフィクションの担い手となる可能性がある。
だからこそ――。
歯を食いしばって地道に取材をしている人間が報われる世界でなければならないと強く思うのだ〉
まともに取材している書き手たちはもっと怒っていいと思う。
ふざけるな、と。
(文:田崎健太)
【了】