注目されるルーニーの起用法
戦力の使い方は、ヨーロッパリーグ(EL)を捨ててプレミアに注力しないとも限らない。就任会見で7回「CL」という言葉が口をついたように、モウリーニョは欧州最高峰の大会に出場できない状況に不満。欧州第2レベルの大会は、2度目のチェルシー就任時に「(前シーズンの)EL優勝は失敗の証」とまで言っているほどの軽視ぶり。
であれば、ELはマーカス・ラッシュフォード、ジェス・リンガード、ティモシー・フォス=メンサなど、昨季に頭角を表したユース出身の若手と1軍の控え組に出場機会を与える場と割り切り、レギュラー陣の力をプレミアに集中する手は有効だ。監督としての欠点とも言われる育成を進め、かつ主力の過労を抑える策にもなる。
主力組では、「6番タイプでも8番タイプでもない」というウェイン・ルーニー評が、在籍13年目を迎えるキャプテンに「FWとして改めて価値を証明せよ」と伝えているようにも聞こえる。
基本システムを昨季チェルシーでも採用した4-2-3-1と想定すれば、1トップは既に十分な能力と更なる将来性が共存するアントニー・マルシャル、トップ下は深い位置で絡みたがるイブラヒモビッチが適任と思える。就任決定直後にモウリーニョから電話で信頼のほどを聞かされているルーニーだが、定位置を獲れるとすればムヒタリアンと逆サイドの2列目左サイドか?
彼らの背後では、モルガン・シュナイデルランかマイケル・キャリックが、一枚上手の新ボールハンターと2ボランチを組むことになるのだろう。
CBのクリス・スモーリングがベイリーと新コンビを組む4バックの安定感は未知数だが、最後尾にはダビド・デ・ヘアがいる。要所では堅守を意識しつつも、リーグ2位の得点数と最少の失点数で首位に立ち続けた一昨季チェルシーでの優勝が再現されれば、攻撃にうるさいマンUファンも納得の新体制1年目となる。