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豪州、代表不人気と国内リーグの”格差拡大”。問い直されるサラリーキャップの意義

text by 植松久隆 photo by Getty Images

配慮せざるを得ないFFA。解決のためには持ち回り開催も

デービッド・ギャロップ
FFAのデービッド・ギャロップCEO【写真:Getty Images】

 これには、代表の不人気もここまで来てしまったか、と、正直驚かされた。というのも、メルボルンはギリシャ国外で最大のギリシャ系コミュニティーを抱える都市として知られ、その影響力が非常に大きい。実際、10年前にギリシャとの親善試合をメルボルンで行った時は10万人収容のMCGの95%が埋まる95,103人の観客が押し寄せた。

 今回は移民総数で圧倒的に多い隣国ニュージーランドとの女子の試合も観客動員に貢献するという目論見もあったのだろうが、完全に読み違えた。この低調な観客動員は、FFA自身が後で認めたようにチケット代の設定が高すぎたことだけが原因ではないはずだ。

 元々、年に数試合しかない代表戦でも観客動員に苦戦する傾向はあったが、ここ数年それが顕著になってきているのは憂慮すべき事態だと言わざるを得ない。
 
 FFAのデービッド・ギャロップCEOは、「非常に大事な日本戦をドックランズ・スタジアムで開催できることをとても嬉しく思う。全豪の多くの州政府による試合招致の動きは、サッカルーズとサムライ・ブルーの対戦の人気と関心の高さをはっきりと示した」と観客動員に自信を示したが、56,347人満員札止めは日豪戦で実現するのか、注目だ。

 さらにギャロップCEOは「FFAとNSW州政府の長期にわたる強固な協力関係は今後も変わらない。今後5年にわたって、NSW州内でサッカルーズ、そしてマチルダズの重要な試合を行うことを楽しみにしている」と蜜月関係から一転して大一番を逃すことになったNSW州政府への配慮も滲ませた。

メルボルン開催を発表する場で、わざわざNSW州政府との関係性に言及する対応を見せることによって二大都市の間でうまくバランスを取って見せた。そんなギャロップCEOの対応からも、二大都市の間の綱引きの激しさが透けて見えてくる。

そもそも、豪州の地政学的な状況を鑑みれば、日豪戦のような大一番をホストできるのは三大都市のシドニー、メルボルン、ブリスベンに限られる。であれば、3都市持ち回り開催に固定してしまえば、しこりを残すこともない。開催地決定の過程での政治性も薄れて公平性も保てると思うのだが…

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