「楠神でなくとも日本人アタッカーを探し続ける」
WSWは昨季のAリーグでプレーオフに進出したが、グランドファイナルでアデレード・ユナイテッドに敗れ惜しくも優勝を逃した。そこで来年開幕するアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の出場権を手に入れ、2度目のアジア制覇を目指すためにも攻撃陣の補強が優先事項となっている。
「昨季まで所属していた外国人選手は1人を残してみんな退団していった。今年獲得した2人はともに中盤よりも後ろの選手で、攻撃的ではない。いまのチームには計算できる前線のアタッカーがミッチ(・ニコルス)と33歳の(ブレンダン・)サンタラブしかいないんだ」
サポーターが嘆くのもそのはず。WSWの前線は元セレッソ大阪で昨季絶対的な主軸として輝いたニコルスと、終盤戦で重要なゴールを連発したチーム内得点王のサンタラブを除けば経験のない若い選手ばかりだ。
昨季10番を背負ったダリオ・ヴィドシッチは中国へ、マーク・ブリッジはタイへ。期待を裏切ったもののエース候補だったイタリア人のフェデリコ・ピオバッカリや元オランダ代表のカステレンもチームを去った。
「もし楠神を獲得できなくても、日本人アタッカーを探し続けると思う。本当にアタッカーが必要なんだ。今季はまだマーキープレイヤー(年俸制限を受けずに契約できる選手)の枠を1人も使っていないし、サラリーキャップを気にせず契約できるからね。シンジ(小野伸二)ほどのスペシャルな選手には巡り会えないだろうけど…彼が本当に恋しい(笑)」
WSWの事情をよく知るサポーターは「ACLのためのアジア枠」と「ハードワークできるアタッカー」の2つをキーワードにクラブの補強プランを分析してくれた。Jリーグで出場機会を失っている楠神だが、いずれのキーワードにも当てはまる存在と言える。まだ一部のメディアで報じられたにすぎないが、今後“セクシーフットボール”の象徴だったドリブラーの海外挑戦は現実味を帯びていくかもしれない。
(取材・文:舩木渉)
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