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明暗分かれたCロナとメッシ。2大スターに訪れたあまりにも対照的な“夏”

text by Keiske Horie photo by Getty Images

クリスティアーノ・ロナウドとリオネル・メッシ
クリスティアーノ・ロナウド(左)とリオネル・メッシ(右)【写真:Getty Images】

 サッカー界に輝く2大スターが迎えたあまりにも対照的な結末。比較を避けることはもはや不可能だった。

 EURO2016決勝が現地時間の10日に行なわれ、ポルトガル代表は開催国フランス代表を下した。その結果、レアル・マドリーのポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドと、バルセロナのアルゼンチン代表FWリオネル・メッシという2大スターの間に、ついに代表タイトルで差が生まれた。

 アルゼンチン代表のメッシにとって、この一ヶ月は彼の代表キャリアにおいて最悪の“夏”となった。2年連続となるコパ・アメリカ決勝に挑んだものの、自身のPK失敗もありPK戦の末にチリ代表に敗れた。メッシ擁するアルゼンチン代表は2014年ワールドカップを含め3年連続で主要国際大会で準優勝。あと一歩のところで優勝を逃し続けている。

 そして失意の敗北直後、メッシは代表引退を表明。ついに同選手はフル代表のタイトルを獲得することなく引退を決断した。しかし、そのわずか2週間後、もう一人のスターであるC・ロナウドが歓喜することになる。

 ポルトガル代表はこれまで主要国際大会で一度も優勝を経験したことがなかった。母国開催のEURO2004では決勝に進出したものの、伏兵ギリシャに敗れ準優勝に終わっている。

 さらに今回の決勝フランス代表戦では、開始早々の10分にC・ロナウドが負傷。その後懸命にプレーを続けたものの、25分に涙を流しながら交代を強いられている。しかし、エースを欠くポルトガルはフランス代表の攻撃を凌ぎきり、延長後半の109分にエデルが値千金のゴール。史上初のEURO優勝を成し遂げた。

 メッシ以外にもセルヒオ・アグエロ、アンヘル・ディ・マリア、ハビエル・マスチェラーノといった多くのスター選手を抱え、常に国際大会で優勝候補に挙げられてきたアルゼンチン。一方ポルトガルはC・ロナウドが牽引するというイメージが拭えず、国際大会では第二勢力の域を脱することはできなかった。

 「いずれ代表タイトルを獲得するだろう」と思われていたメッシと、「代表タイトルを獲得することは難しい」と思われてきたC・ロナウド。その予想はメッシの代表引退表明と、ポルトガルの歴史的優勝で覆された。

 この結果が両者に優劣をつけるわけではない。しかしながら、あまりにも対照的な1ヶ月間は2人のスター選手の間に新たなドラマを生んでしまった。

(文:Keiske Horie)

【了】

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