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Jリーグ 8年前

磐田・20歳のGKが掴んだ千載一遇のチャンス。高卒2年目、志村滉が挑む偉大な先輩超え

text by 青木務 photo by Tsutomu Aoki,Getty Images

キャンプから見せ続けた安定感で指揮官の信頼勝ち取る

ジュビロ磐田の名波浩監督
ジュビロ磐田の名波浩監督【写真:Getty Images】

 さらに遡れば、志村は2月の鹿児島キャンプの時から人一倍、意欲的だった。

「今年はプロ2年目だし、試合に絡んでいこうという意気込みでスタートした。去年は迷いがあるというか、前に出られるところで出て行けないということがあったけど、今はそういうこともなくやれている」

 シーズン開幕前の練習試合でも、果敢なセービングで好パフォーマンスを披露した。ある日に行われたJ3クラブとの練習試合では、ピンチを何度も防いで見せた。その試合後、名波監督は「滉がいなかったら0-3でしょう。滉ありきのゲームだったね」と志村を称えた。

『まだ2年目だから』、『GKの層は厚いから』。そんな言い訳は一切しない。あくまで公式戦のピッチに立つことを考えてトレーニングに打ち込んできた。そして、リーグ戦デビューとなるFC東京戦の前日。指揮官は、志村の成長を口にしている。

「キャンプからずっと安定感はあった。紅白戦とかでもあまりミスがない。一対一は本当に強く、間合いが素晴らしいね。スーパーセーブが増えてきたのも、立ち位置が半歩前になるようになって、ボールに届くようになっている。あとはコーチングや空中戦。この辺が良くなってくれば。でもその両方も元々、悪くはないからね」

 さらに、名波監督は「仲間として自信を持って送り出す」とも話した。主力の相次ぐ負傷により、降って沸いたチャンスだったのかもしれない。しかし、“運”を引き寄せたのは志村本人だった。

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