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サッカー界の偉人・ペレの足跡。貧しき少年はいかにしてキングになったのか

text by ミカミカンタ photo by ©2015 Dico Filme LLC.

クオリティーにこだわったサッカーシーンでの撮影

ペレ ©2015 Dico Filme LLC.
【写真:©2015 Dico Filme LLC.】

 映画的な話をすると、つくりとしては決して目新しいものではない。楽しくも悲しい少年時代の生い立ちがあり、家族や友人に支えられつつ葛藤と挫折が襲い、ライバルとの対立があり、導いてくれる恩師がいて、挫折を乗り越えて最後には栄光をつかむ。こう書くとまったくの王道であるが、それがペレという偉大なサッカーレジェンドの歩んだ本当の道だから否応のない説得力があって、思わず引き込まれてしまう。

 当然、サッカーシーンが盛り込まれているわけだが、以前、日本でサッカー映画をつくったことのあるプロデューサーと話した時に、「サッカー映画だとどうしてもサッカーシーンが重要なわけで、だけどそれを演じるのは役者だから問題なんだよね。監督の撮り方次第だけど下手なのが見えてしまうとリアリティーがなくなっちゃうから」と言っていた。

 また、かつて『パッチギ!』や『フラガール』等を製作したシネカノンの李鳳宇(リ・ボンウ)氏に話を聞いたときもやはりサッカーシーンを気にしていた。シネカノンが経営破綻して企画は実現しなかったが、サッカーフリークの彼は昨年9月に亡くなったデットマール・クラマーさん時代の日本サッカーを描いた映画をつくろうとしていたのだ。

 この『ペレ 伝説の誕生』でも撮影時に一番苦労した点はそこで、サッカーシーンのクオリティーに苦心したとのこと。そのことはキャスティングに如実に表れていて、9歳役と16~17歳役、ふたりのペレを選ぶ作業がかなり難航したようだ。

ペレ 伝説の誕生』公式サイトのプロダクションノートに<苦難のキャスティング>としてその辺の詳しいことが載っているので参照されたい。ちなみにこの映画のサッカーシーンでは俳優に吹き替えを使っていない。実際に俳優がボールを蹴っているのだと宣伝部の人が教えてくれた。プロダクションノートを読めばそれも頷ける。

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