釜本邦茂氏「どうやったらペレのようになれるかと考えたよ」
この映画でペレはExecutive Producerとしてクレジットされているが、ペレ本人が映画の企画案をアメリカの映画製作会社に自ら持ち込んだと言われている。オールブラジル・ロケで、ブラジル人ばかり出ているのに使用言語がポルトガル語ではなく英語なのはそのためだ。
ペレは内容に齟齬がないか、当時のブラジルの世相に合致しているかなど、全編にわたって細かくアドバイスをしたとのこと。詳しいサッカーファンならブラジルサッカーが“ジンガ”の影響を強く受けていることは先刻ご承知のことと思うが、まさしくこの映画ではそのジンガが重要なファクターとなっている。そうそう、映画のどこかでヒッチコックばりのサプライズも用意されているので見逃さないように!
ペレですぐに頭に浮かぶ日本人と言えばかつての日本の大エース・釜本邦茂だ。釜本さんはペレがサントスとニューヨーク・コスモスでプレーしていた頃にそれぞれ1回ずつ、二度の対戦をしている。そして釜本さんの引退試合にもペレは駆けつけて大きな花を添えた。
この原稿を書くにあたって釜本さんに連絡を取ると「そりゃやっぱり憧れの選手だったからどうやったらペレのようになれるかと考えたよ。ペレが日本でやった引退試合に立ち会えたのも嬉しかったし。僕の引退試合の時にはお互いにもういい年だったけどね(笑)」と教えてくれた。そういえば釜本さんがゴールを決めたあとのガッツポーズはペレのそれに似ていたと思うのは私の思い過ごしだろうか?
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