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EURO2016 8年前

フランス、らしくない組織力。ドイツの攻撃封じた守備網。W杯王者相手に熟成された一体感

text by 中山佑輔 photo by Getty Images

圧倒的に押し込むドイツ、耐えるフランス

 試合開始早々フランスがチャンスを作る。グリーズマンが小さなスペースを利用してボールを受け、マチュイディと絡みながらゴール前に侵入していく。ドイツボールになった際にはマチュイディが持ち前の馬力ですばやくボールを回収するなど、試合を通じてフランスがボールを支配するかとも思えた。しかしドイツのメスト・エジル、ユリアン・ドラクスラーらがポジションをずらしながらボールを受け始めた10分頃からは、ほとんど一方的といっても良いほどドイツがフランスを押し込む格好となった。

 ドイツの攻撃に対し、守備時に4-4-2の陣形を取ったフランスは、コシェルニーを中心に堅固な守備網を形成。中央をしっかりと固めながら、センターバックがサイドに釣り出された際にはボランチがカバーリングに入る。ボランチの裏でボールを受けられた場合には、必要に応じてセンターバックが前に出て対応した。余裕のない状況でははっきりとボールをクリアし、決定的な場面は作らせない。

 ドイツはフランスが作る4-4ブロックの間受けを狙うも、なかなかそこで前を向くことはできない。そのためセンターバックのジェローム・ボアテングやアンカーのバスティアン・シュバインシュタイガーが両サイドにボールを配球。特に右サイドのヨシュア・キミッヒへのパスが目立った。中央からサイドへ、速いボールを正確に供給することにより、パスを受けたサイドの選手はフランスのサイドバックがスライドするまでに若干の余裕を得ることができる。ドイツはそこから直接クロスを狙う、あるいはゴールエリア脇を攻略するというパターンで攻めるも、フランスの守備は崩し切れない。

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