孤高のロナウドにドラマ突発の予感?
思い出すのは2004年のユーロ(いや、その2年後のW杯だったか? う~ん、この際どちらでもよろしい)。当時、同じクラブの僚友同士で、ともに日の出の勢いのニュースター同士でもあったロナウドとルーニー。リカルド・カルヴァーリョの“踏みつけ”行為に我を失いかけたウェインを、どこかあざ笑うように“なだめる”振りをしたクリスティアーノ。
その舌打ち級のシーンが尾を引いたのかどうかはいざ知らず、イングランドはポルトガルの前に屈した。もしも、運命がベイルとロナウドを似たような場面に巻き込んでしまったとしたら、未知の筋書きにどんなエピソードが織り込まれるのだろうか。
数か月前だったか、ロナウドは突然こんなことを示唆した。「ユナイテッド時代、ぼくは、腹を割って話せる誰かを見つけられず終いだった」。
では、現在のレアルではどうなのか。あくまでも報道から読み取れる範囲の憶測にすぎないが、ロナウドに“親友”ができているとはとても思い難い。そんな孤高の感傷が、ウェールズ戦で、ベイルとの絡みで、ふと何かの拍子でこみ上げてきたとしたら?
戯言で、薄っぺらい危惧であってほしい。しかし、こんな対照的な両名、両者であるからして、思わぬドラマの突発がないとは言い切れない。
ベイルのことだ。そして彼は痛いほどわかっている。初陣のウェールズには失うものなど何もない。ヒートアップの余波はそっくりそのままピッチでのプレーに昇華させてぶつけるのみだろう。ただ、誰かが、アシュリー・ウィリアムズ、ロブソン=カヌー辺りが“事件”の渦中にあるとき、ベイルがどう振る舞うか。もちろん、先頭に立ってひとえにクールダウンを図ることを祈るが。
実は、それに関連してアーロン・ラムジーの累積出場停止が、すべてのカギを握りそうな予感がする。ウェールズ・シンパに立って考えれば、誰よりもベイルの絶大な能力を引き出す相棒が不在なのは、マイナス。だが、おそらく誰よりもヒートアップしがちでその瞬間怒りを行動に移してしまいそうな“火の玉男”がいないのは、少しはプラス(かも)。