ロナウドとベイル、ユーロで歩んだ対照的な足跡
一つの“運命的”めぐり合わせではある。クリスティアーノ・ロナウドとギャレス・ベイル。ここにドイツ(トニ・クロース)が割り込んできてもなぜか“絵”にならない。
しかも、対照的な両者のユーロ足跡、対照的なチーム事情。じっくり、着々と、受け売りの“過去問”と前評判語りを後目に、近年の充実ぶりをさらに進化させてきたウェールズと、楽々グループリーグ突破の予定調和を裏切りながら、ぎりぎりの底力を振り絞って危なっかしく“ワイルドカード”組から這い上がってきたポルトガル。さて、あらゆる要素を咀嚼した上での、本物の勝ち運に恵まれていそうなのは、果たしていずれか。
このユーロ、ロナウドとベイルは、立ち位置も働きぶりも我々に突きつけるイメージも、すべてが好対照だ。方や、そう、ちょうどかつてのロナウド(ブラジル)のように、前線でポツンと時を待ち、可能な限りさぼって、もとい、体力を温存し続けてきたクリスと、チームに完全に溶け込み、まるで常に露払い役を買って出たかのように、よ~く目を凝らしていないとどこにいるか見失ってしまうほどの神出鬼没ぶりを印象付けてきたギャレス。
自意識過剰の“きらきら”アイドルと、自覚と献身を絵に描いたような泥臭い異能の職人――では言い過ぎか? では、二人のホーム、レアル・マドリードの事実上の“顔”ペレス会長の“受け”の方はどうか。
ベイルについては「絶対手放さない」と公言しつつ、ロナウドのことはそこまで踏み込んでは語らない。お気に入りのハードワーカーと、もてあまし気味のオレサマ気質――再び、言い過ぎか? だが、そこに(そんな強引な対比に)また“捻った”落とし穴の匂いがしないでもないから、不安が期待に入り混じる。