W杯とEURO、続けて初出場で決勝T進出という快挙
南アフリカでスロバキアを率いたのはヴァイス監督だった。彼らはイタリアを3-2で破るなど1勝1分1敗で決勝トーナメント進出を果たした。
今回と同様、オランダに敗れてラウンド16で敗退したが、このような国際大会では初白星をあげるのでさえ数大会かかる出場国も多い中、ワールドカップも、ユーロも、彼らは初出場にして決勝トーナメント進出という、誰もが最初の目標とするハードルを乗り越えてみせた。
今大会のスロバキアにとっては、グループリーグ第3戦でイングランドと引き分けたことが大きかった。イングランドのホジソン監督は、この試合でケインやルーニーなど主力5人を休ませ、それまでベンチメンバーだった選手を送りこんだことで非難された。だが、監督の采配も含めて、それが両軍の実力だったということだ。
さすがにラウンド16のドイツ戦では力の差が出た。しかもグループリーグでは十分に真価を発揮できていなかったドイツが、あの試合では今大会初めてカチっとはまった感じがあった。
スロバキアの現在の立ち位置は、決勝トーナメントに進出するだけの力はあるが、優勝候補クラスの国とは差が出る、といったところだろう。
しかしまだ、独立後20年ちょっと。その間に、代表選手のほとんどが国外クラブで切磋琢磨する時代になり、リバプールのDFシュクルテル、 ナポリのハムシクら、ビッグクラブで活躍する選手も出てきた。
一見地味だが、知ると味わい深いのは、この国の街並みともよく似ている。スロバキア代表には、今後もこのまま地道にがんばっていって欲しいと心から思う。
(取材・文:小川由紀子)
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