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EURO2016 8年前

スロバキア、堅実な強化策が結実。W杯・EUROでの決勝T進出。基盤作った育成の長期プラン

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

スロバキアサッカー協会が定めた方向性

 チャンピオンズリーグでの初戦はカンビアッソやサネッティ、アドリアーノらがいたインテルが相手だったが、緊張する選手たちに監督はこう説いたという。

「見てみろ、相手だって、頭はひとつ、足は2本。同じ人間なんだ。いつも対戦している選手たちと同じだと思ってやればいいんだ」

 そのとき16歳だった彼の息子、名前も同じウラジミール・ヴァイスは、マンチェスター・シティの育成所に所属していた。

「いまの時代はいいよ。僕も現役時代、スペインのクラブから誘いをもらったことがあった。行ってみたかったけどねえ。息子がうらやましいよ!」

 監督が現役だった頃はチェコスロバキアから西側諸国へは自由には渡航できない時代だったのだ。ヴァイスJrは今大会にも出場して、ロシア戦で得点をあげている。そしてスロバキアのサッカーは、この頃から着実に進歩をとげていった。

 元代表選手など、サッカーを取り巻く環境をよく知る人材が協会に入っている。これは一見当たり前のようだが、実現できていない小国は意外と多い。サッカーとはゆかりもない天下りの役人などが協会の要職を占めて、まったく方向性が定まっていないところも多いのだ。

 スロバキア協会はまず国立育成所の設立からとりかかった。郊外に広い土地を確保して、ユース年代から育てる設備を整えた。時間はかかっても、「まずは育成から」と、基礎を固めることを優先させた長期プランを着実に実行していったのだ。

 彼らを訪問したちょうどそのとき、2006年のワールドカップ予選が大詰めを迎えていて、スロバキアはプレーオフの真っ最中だった。相手はスペイン。敵地での第1レグはルイス・ガルシアのハットトリックでスペインが5-1で大勝。まだ若かったフェルナンド・トーレスも1点をあげた。

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