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母国EURO初出場の裏で――。国から逃げ、身寄りもなく、それでもサッカーを続けるアルバニアの難民少年

text by 宮崎隆司 photo by Takashi Miyazaki , Getty Images

憧れのヒサイの写真を届けようとしたが少年は……

 それから10日後。新聞を買いに行く道すがら、再び広場へ足を運んでみると、やはりいつもと同じように大勢の子供達がサッカーで遊んでいた。

 イタリアとブラジルの子供達による試合が終わり、次に始まったのは、あの19日のEUROと同じ、ルーマニア対アルバニア。だが、その日の広場に来ているのはまったく別のグループであるらしく、そこにアルバンくんの姿も、彼の仲間達の姿もなかった。
 
 あの子達は元気でいるのだろうか。毎日、午前中に必ず来ていると言っていたはずなのに。心配になり、しばらくあの14日に一緒に座ったベンチで待ってみたが、アルバンくん達が来ることはなかった。

 そして7月3日。今日もいつものように新聞を買いに行く道すがら再び広場へ足を運んだ。新聞を買った帰りにもう一度広場へ戻ってもみたのだが、残念ながらそこに彼らの姿はなかった。

 エルセイド・ヒサイがエンポリのユースで頑張っていた当時の写真をアルバンくんにプレゼントしたかったのだが__。

(取材・文:宮崎隆司【フィレンツェ】)

【了】

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