イングランド、アイスランドにまさかの惨敗でEURO敗退
前置きに替えて――。フランスにはせ参じた某イングランドサポーターの、吐き捨てるようにつぶやいた一節、「ダブルのショック。たぶん人生最悪の一週間」。世界の政治経済をあたふたと対応に駆り立てることになった「英国のEU離脱」と、イングランドの破滅的なアイスランド戦敗退。
関連は何一つない。だが、このほぼ同時発生的に起こった二つの事件を突き付けられた“彼”、およびイングランドのおそらく全フットボールファンの心情も、決してわからないではない。
初出場。グループリーグ最終戦(対オーストリア)終了間際の決勝ゴールがもたらした、滑り込みの2位通過。もっぱらの戦術は激しい当たりと執拗なプレス、そしてロングボールを駆使するカウンター。プレミア所属が約2名他程度、どう見てもワールドクラス不在。
誰の目にも、アイスランドの概観・印象は、イングランドにとって組しやすしだったはず。しかしながら、だからこそ、スリーライオンズのグループリーグ3試合の戦いぶりを振り返ったとき、“普段通り”では苦戦もあると警戒する意見がちらほら飛び交っていたのも事実だ。
筆者もその一人で、このコラムシリーズでも「敵のスタイルを逆手に取り、あえて“本家”のプライドに基づくキック&ラッシュ戦法をぶつけ、氷の国からやってきたヴァイキング軍団の顔色をなくさせる」という意味合いの“提案”をした。なにしろ、ジェイミー・ヴァーディーなる、とっておきの、その申し子がいるのだから、と。
果たして、アイスランド戦のスターティングメンバーにヴァーディーの名前はなかった。ケインのワントップ、左右シャドウにスターリングとスタリッジ。ホジソンの意図を測りかねた。なぜ、今大会のスリーライオンズ中、最も勘が冴え、動きも上々で安定していたララーナがベンチなのか、その代わりがなぜスタリッジなのか――。何をしたいのかがさっぱり見えてこない。