ドイツと渡り合ったイタリア。胸を打つ展開に
ただ、イタリアはむしろそこから奮闘を見せた。フロレンツィは、猛然と右サイドをプッシュしヘクターを押し込む。同点のPKにつながるクロスを放ったのも彼だし、そもそもそのきっかけとなったCKのチャンスは、彼自身のサイドアタックが実らせたものでもあった。
抑えられていた他のセクションでも、イタリアは逆に凌駕した。中盤ではエマヌエーレ・ジャッケリーニの運動量が相手を上回り、スペースへ積極果敢に顔を出す。フロレンツィに負けじとマッティア・デ・シーリオも左サイドに飛び出す。潰されていたはずの縦パスも、グラツィアーノ・ペッレが相手のチャージに耐えていつの間にか多くつながるようになっていた。
ダニエレ・デ・ロッシの起用は結局見送られたが、代役としてアンカーに回ったマルコ・パローロも、中盤のカバーリングやパス出しという点でも懸命に穴を埋めた。
ドイツはそんな彼らをねじ伏せるどころか、ロレンツォ・インシーニエが投入されてからは逆転ゴールのチャンスさえ与えるようになる。相手の良さを潰す戦術戦を先にドイツに仕掛けられても、それに屈するどころかチームとして五分以上に渡り合う様子は、胸を打つものがあった。
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