イタリア、PK戦の末ドイツに敗戦
「僕らは全力を尽くしたんだ。でも敗退が決まった。何年か経てば、忘れられてしまうんだよ。代表は全力を尽くしたってことも…。負けたら、何も残らないんだ…」
PK戦の末に敗れたドイツとの準々決勝後、国営放送『RAI』のインタビューを受けていたアンドレア・バルザーリは、人目もはばからず泣き崩れていた。イタリア代表は確かに全力を、いやそれ以上をこの大会で出し尽くした。
ウェールズにも大敗を喫したベルギーの真の評価についてはともかく、戦力で勝るとみなされていた相手に初戦で快勝。下馬評に反して1位通過も決め、決勝トーナメント第1戦ではスペインを2-0で破る。硬い組織守備と精密なカウンター、そして一人一人が全力で役割をこなすチームワークが光っていた。
そんなイタリアに対し、ドイツは確実に勝つために戦術戦を仕掛けた。イタリアに合わせたのは3バックという並びだけではない。まるでこれまでのイタリアのように、相手の良さを消すための戦術を緻密に組んでいた。
後方からビルドアップを掛けるレオナルド・ボヌッチにはマリオ・ゴメスが張り付いてハイプレス。攻撃の重要な柱となるFW陣への縦パスは徹底して切り、低い位置からつなぎに入ろうとするイタリアのMF陣にも執拗なプレスが掛かった。
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