間違いだった選択。自ら“流れ”を手放したベルギー
早い時間帯でベルギーが先制点を決めたことで、強力な個の力を持つ攻撃陣がさらにその強度を高めていく…。そう考えるのが自然だったが、ベルギーは先制以降、引くことを選択した。
結果から言って、この選択は完全に間違いだった。ベルギーの前線と中盤はウェールズへのプレッシングを弱めて待ち受ける態勢をとったが、それによってウェールズの中盤は自由にボールを動かせるようになった。
一方、左CBのフェルマーレンと左SBのフェルトンゲンを欠くベルギーのDFラインは統率がとれず、ウェールズに裏を取られるシーンが増えていく。そして、ロブソン・カヌの突破からウェールズがCKを得ると、アシュリー・ウィリアムズがヘディングで決めて同点。
1-1となって以降もベルギーは、裏を取られる恐怖心からDFラインを押し上げることができないため、セカンドボールも拾うことができず、完全にウェールズに“流れ”を渡してしまった。
試合開始から前半15分までのスタッツでは、支配率でベルギーが51.6%、シュート数でも4本:2本で上回っていたが、前半15分からハーフタイムまでのスタッツを見ると、支配率でウェールズが61.9%と圧倒しており、チャンスメイク数も8回:2回、シュート数も8本:2本と完璧に逆転していた。
ベルギーは、後半からカラスコに代えてフェライニを投入し、トップ下で苦しんでいたデ・ブライネを右サイドに移し、ナインゴランをトップ下に入れることでヴィツェル、フェライニとの中央のトライアングルの強度を高めた。
この変更は一定の成果を見せ、後半のベルギーはポゼッション65.6%とボールの支配力を取り戻した。しかし、一度手放した“流れ”を取り戻すのは簡単なことではない。
後半の構図は攻めるベルギーと守ってカウンターを狙うウェールズという、本来の形に戻った。そして、この時点で“流れ”をつかんでいるのはウェールズだった。