主将が示した猪突猛進な“ブリティッシュスタイル”
一方のウェールズは、「体を張って守ってベイル」という一貫した戦い方がチームに完璧に浸透している。こういった戦法が良いか悪いかは別として、やるべきことが明確となっていれば選手たちは迷いなくプレーできる。
ベイルはここまでグループステージでは3戦連続ゴール、北アイルランドとのラウンド16ではオウンゴール誘発とすべてで得点に絡んでいるが、これはチームとしてブレていないからこそ続いているといえる。
ウェールズは同じ英国の北アイルランドに対して苦戦を強いられたが、これはそもそもの力関係がウェールズ>北アイルランドだったため、主導権を“握らざるをえない”展開となったことで難しさがあった。
対して、ウェールズのようなスタイルで一貫しているチームにとっては、ムラの多いベルギーのようなチームは格好の餌食ともなり得る。
主将のアシュリー・ウィリアムズが北アイルランド戦で左肩を負傷し、交代の指示を一喝してピッチに残り続けたことで、このベルギー戦への出場が若干不透明な状態だが、その時の姿はある意味では猪突猛進な“ブリティッシュスタイル”の象徴でもある。
世界屈指の“個の力”を持つベルギーが当たりを引くのか、あるいはウェールズの団結力が個を上回るのか。世界が“波乱”に沸く可能性は決して低くない。
(文:海老沢純一)
【了】