強運が武器という不思議なチームに
今大会のポルトガルは非常に不思議なチームだ。これといった武器を持たずして、気がつけばベスト4一番乗りを果たした。
イタリアのように強力な守備陣を持つわけでもなく、ベルギーのような豪華な攻撃陣も持っていない。かといって、アイスランドやウェールズのようなハードワークと組織力で勝ち上がってきたわけでもない。そもそもグループステージでは3引き分けで3位という成績であり、参加国数が拡大されていなかったら決勝トーナメントにすら出場できなかったチームだ。
ポルトガルは未だ90分間で一度も勝利を手にしたことはないが、チーム唯一の武器ともいえる強運によって延長戦の戦いを生き抜いてきた。せめてC・ロナウドに得点を量産させる仕組みを整備すれば、彼の驚異的なパフォーマンスで試合をものにできるかもしれないが、今のところサントス監督は解決策を見出してはいない。
それでも、残す試合は準決勝と決勝のわずか2試合というところまでやってきた。案外このままポルトガルが強運を頼りに優勝してしまうこともありえるのかもしれない。C・ロナウドというサッカー界でも随一の“もってる”男が牽引するチームが迎える結末に注目したい。
(文:Keiske Horie)
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