ポルトガルを救った18歳の怪童
その後もポーランドが試合のペースを握り続けたものの、ポルトガルを18歳の怪童が救う。
ピッチ中央でポルトガルの全ての攻撃に関与し続けていた18歳のレナト・サンチェスが、ナニの落としから目の覚めるようなミドルシュートを叩き込んだのだ。深い切り返しから放たれたシュートは相手DFに当たりコースを変え、ゴール右隅に吸い込まれた。
レナト・サンチェスはベンフィカの下部組織出身のセンターハーフで、今季はチャンピオンズリーグ(CL)の大舞台も経験した。そしてCL準々決勝で対戦したバイエルン・ミュンヘンのスカウト陣の目に止まり、今夏移籍金3500万ユーロ(約40億円)で同クラブへ移籍を果たしている。
ポルトガルのフェルナンド・サントス監督は後半からチームに秩序を取り戻すことを選択する。前半に輝きを放っていたレナト・サンチェスをサイドに固定し、中盤の流動性を抑制。C・ロナウドをトップに固定してサイドからの執拗にクロスを放り込む力技に切り替える。
この采配によってレナト・サンチェスの輝きは失われ、試合は退屈な展開へとシフトしていく。しかし、ポルトガルは守備時のリスクが軽減され、個々の選手の能力では相手を上回ることで徐々にチャンスを創出する。
それでも偶発的に生まれたチャンスをC・ロナウドが決めきれなかったこともあり、結局試合は1-1のまま延長戦を含む120分間を終えてPK戦へともつれ込んだ。ポーランドの四人目のキッカーであるヤクブ・ブワシュチコフスキが失敗したことで、ポルトガルは勝ちを拾い準決勝進出を決めている。
【次ページ】強運が武器という不思議なチームに