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EURO2016 8年前

ロナウドを生かせない“無秩序”なポルトガル。強運を武器に勝ち進む不思議なチームに

ポルトガル代表は現地時間30日、EURO準々決勝でポーランド代表と対戦してPK戦の末に勝利を収めた。絶対的エースであるクリスティアーノ・ロナウドを生かすことができていないポルトガルだが、なんとか“強運”を武器に勝ち進む不思議なチームとなっている(文:Keiske Horie)

text by Keiske Horie photo by Getty Images

対称的な環境に置かれる両エースFW

ロベルト・レバンドフスキ
ポーランドのエースFWロベルト・レバンドフスキ【写真:Getty Images】

 レアル・マドリーのクリスティアーノ・ロナウドとバイエルン・ミュンヘンのロベルト・レバンドフスキ。欧州を代表するストライカーを擁する両国の対決に期待が集まったEURO2016準々決勝ポーランド代表対ポルトガル代表だが、両エースを取り巻く環境は実に対称的だった。

 ポーランドの絶対的エースであるレバンドフスキは、得点だけでなく強力なフィジカル能力と足元の技術を武器にポストプレーも得意とする現代型ワントップの選手である。ポーランドでも攻撃の起点としてポストプレーに奔走し、攻撃のスイッチ役としてもチームに貢献している。

 ここまでのEURO2016では未だノーゴールだったレバンドフスキだったが、彼のパフォーマンスを非難する者はいない。レバンドフスキが潰れ役となることで、相方のFWアルカディウシュ・ミリクや中盤の選手がチャンスを迎えることを理解しているからだ。

 レバンドフスキを効果的に組織に組み込むことでチーム一丸となって勝ち上がってきたポーランドに対して、同じく絶対的エースであるC・ロナウドを擁するポルトガルの環境は対称的だ。

 C・ロナウドは基本的に前線に陣取ることで、攻撃の組み立てに積極的に参加することはない。かといって彼がゴールを量産するように攻撃システムが整備されているともいえず、「最後は任せた」と半ば仕事を放り投げられている状態だ。

 この試合のポルトガルは“無秩序ぶり”に拍車がかかっており、4バックの前にアンカーとしてウィリアム・カルバーリョが配置され、その前にレナト・サンチェスがセンターハーフともトップ下とも言い難い曖昧なポジションを取る。そして、残りの4選手(C・ロナウド、ナニ、ジョアン・マリオ、アドリアン・シウバ)は自由自在にポジションを変更し、あまりの変幻自在ぶりに味方同士も誰がどこにポジショニングしているか把握していないように見えるほどだった。

 無秩序なポルトガルの布陣は稚拙な攻撃を生み出しただけではなく、とりわけ守備面において大きいなダメージを与え、ポーランドは守備陣形が整わず取り残されるカルバーリョの脇のスペースを容易に攻略することに成功していた。開始早々の2分にお手本のようなカウンターからエース・レバンドフスキのゴールが生まれたことはポーランドとポルトガルのチーム状況の違いがそのまま結果に表れた形だ。

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