「まだまだ改善できる強み」が成長の鍵に
ダガマ監督はもう1つ、日本を分析した上で今後必要になるであろうポイントを指摘してくれた。「弱みというよりはまだまだ改善できる強み」と表現されたそれは、「中盤でポゼッションをして、それからチャンスを見つけて突破していく、前に上がっていくといったプレー」だ。
ボール支配率こそ低かったものの、日本は相手からボールを奪うと確実にゴール前まで運んだ。前半9本、後半8本のシュートがそれを裏付ける。ダガマ監督が自軍のポゼッションを高めることで破壊しようとした日本の「強み」は、南アフリカと同じボールを支配して攻めるスタイルだった。
結果的に失敗に終わったが、発言からはボールポゼッションも相手次第で「弱み」になりうるという考えが透けて見えてくる。だからこそダガマ監督は「強みをもう少しグレードアップしていくと、さらに強いチームになるのではないか」と日本の我々に向かって問いかけてくれた。
結果だけを見れば最初の失点は事故で、日本の快勝だったように思える試合でも、U-23南アフリカ代表は日本がオリンピックに向けてクリアすべき課題を示してくれた。リオデジャネイロ五輪でメダルを獲得するには個人の成長はもちろんのことながら、チームとしての技術、戦術、精神力…あらゆる面での成長が求められる。残された時間は少ないが、手倉森誠監督は勝つためにどんなプランを練って、どんなチームを作ってくれるのか、まだまだ楽しみは尽きない。
(取材・文:舩木渉【松本】)
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