アウェイで試される「メンタルストレングス」
そういった個に対する警戒はもちろんだが、実は南アフリカも日本と同じくボールポゼッション主体で試合を支配するゲームプランを立てていた。ダガマ監督は「他のアフリカ諸国に比べて小柄な選手が多いので、やはりボールをキープして素早く動くというのが我々の特徴」とその理由を説明する。
そして日本戦のボール支配率は58.9%を記録し、相手をしっかりと上回った。だが、結果は4失点。25日にナミビアでアフリカ南部の国々が集まるコサファ・カップの決勝を戦い、そのまま約24時間かけて来日して翌日に試合という過密スケジュールの影響もあったが、「ディシプリン」に基づいて整備された日本の守備を崩しきれなかった。
ここでダガマ監督は、日本が遠いブラジルで戦う場合にも必要になるひとつの考え方を提示した。それは周囲の環境を言い訳にはできないということだ。南アフリカの選手たちは明らかに良好なフィジカルコンディションではなかったが、それに甘えて言い訳してしまえば自分たちの実力不足にいつまでも気づけない。
では厳しい状況を打破するのに何が必要なのか。ダガマ監督は英語で「メンタルストレングス」と述べた。日本語に直せば「精神力」や「強靭な精神」となる。「こういった大会(遠方のアウェイ)ではメンタルストレングスが非常に重要になってきます。メンタルを一番高いレベルに押し上げて、限界を超えることが非常に重要になってきます」と力説する。
南アフリカが前半最後の10分間で耐えきれずに失点を重ねてしまったのも、メンタルの弱さにつけこまれてしまったから。同じことはブラジルに乗り込む日本にも起こりうる。世界の強豪は一瞬の隙を見逃さない。
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