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4-4-2の“天敵”、バルサスタイルの出現。隙間でのポゼッション。反定立としてのアトレティコ【西部の4-4-2戦術アナライズ】

シリーズ:西部の4-4-2戦術アナライズ text by 西部謙司 photo by Getty Images

ブロック崩しへの対抗策、バイタル潰しと人数増員

10人ブロックで2トップを復活させたディエゴ・シメオネ監督
10人ブロックで2トップを復活させたディエゴ・シメオネ監督【写真:Getty Images】

 2000年代に4-4-2は4-2-3-1へ変化している。一時は主流だった2トップが激減し、4-4の守備ブロックにプラス1(トップ下)という形で守備の強化が図られた。

 スペイン式のティキ・タカは、同じ水準は無理としてもやはり多くの模倣者を生み、やがて普通の戦術として消化されていった。それがゾーンのブロック守備攻略方法として優れていることがはっきりしたからだ。とくにMFとDFの間の隙間である「バイタル・エリア」への侵入が決定的であると広く認識されるようになった。4-2-3-1が主流になったのは、バイタル・エリアへの侵入を狙って3人の攻撃的MFを起用できるからという理由もある。

 ゾーン・ブロックの形成とブロック崩し。この2つが現代戦術における攻守のメインテーマとなっている。

 ブロック崩しへの対抗措置も出てきてきた。CBが早めにラインの前に出て、バイタルへ侵入してきた攻撃側の選手を潰すようになった。一時的に3バックになってしまうためリスクのあるやり方なのだが、メッシのようなアタッカーを抑えるには最も被害が少ないことが経験的にわかってきたのだ。

 2014年W杯の緒戦でスペインと対戦したオランダは、さらに用心深く5バックを用意して徹底的にバイタル潰しを行っている。1人が前に出ても4バックを維持できるのでリスクは少ない。

 アトレティコ・マドリーはシメオネ監督の下、4-4-2を復活させている。

 2トップが4-4の守備ブロックに近づいて10人のブロックを形成、FWを増員させても守備力は下がるどころか増強された。

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