ゾーンの4-4-2にとっての“天敵”、バルサスタイル
2008年のユーロで優勝したスペインは、2010年南アフリカW杯でも優勝。さらにユーロ2012も連覇して黄金時代を築いた。また、08-09シーズンのCLではグアルディオラ監督率いるバルセロナが優勝、10-11シーズンも優勝している。スペイン代表のメンバーの中心がバルセロナの選手であり、この2つの強力なチームはほぼ1つのチームで、同じプレースタイルだった。
スペイン・バルセロナは、ゾーンの4-4-2にとって“天敵”の出現である。
4-4の守備ブロックは、その内部への侵入を容易に許さないことが最大のストロングポイントである。ところが、スペイン(バルセロナ)はブロックの内部へパスをつないで浸食し、そのことで守備のバランスを失わせた。ジネディーヌ・ジダンが個人で与えた4-4-2への脅威は、スペインによってチームとしての脅威になったわけだ。
スペインはゾーンの隙間にパスをつなぎ、周辺の守備者が収縮する前にボールを逃がす。それを連続されるとゾーンによるブロック守備戦術はもたない。ボールへの収縮は別のエリアのスペース拡大を意味し、なおボールを追い続けて奪えなければ、守備組織は崩壊へ向かって進む。
【次ページ】登場のタイミングが絶妙だったティキ・タカ