ジョン・テリーのような植田。基礎が崩れない強固な土台
チームをさらに向上させる道の1つは、DF陣がもっとゴールを奪えるようにすることだ。アビスパ戦で山本が決めた先制点は、5月のアルビレックス新潟戦で西が決めた決勝点に続いて、守備陣が記録した今季ようやく2点目の得点だった。昌子と植田の対人の強さを考えれば、攻撃時のセットプレーでももっと貢献度を高められて然るべきだろう。
だが、彼らが狙っていないという意味ではないし、特に今季の植田のオールラウンドな働きぶりは印象的だ。ボールを持った時の落ち着きぶりをさらに増している様子で、アビスパ戦では全盛期のジョン・テリーを髣髴とさせるような姿も見せていた。
自陣内でボールを奪い取ったあと、ボールを持ったまま守備陣から攻め上がり、サイドへと展開してそのまま相手ペナルティーエリア内へと飛び込んでいくプレーだ。最後はエリア内でラストパスに惜しくも合わせきれなかったが、決まっていれば素晴らしいゴールになっていた場面だった。
ファーストステージを制したアントラーズの容赦の無い戦いぶりについて尋ねられると、植田は次のように答えた。「僕らは本当にタイトル獲得に集中しています。ここ最近は全く負けていないですし、チーム内にはどの試合も絶対に勝てるという強い感覚が普段以上にありました」
「失点も減らしていくことができましたし、前線の選手たちもその点ですごく助けてくれました。単に守備陣だけの力ではなく、本当にチームが一丸となって戦っているからこそだと思います」
シーズン後半戦には、そういう面をさらに強く見せる必要が出てくるだろう。手倉森監督率いるU-23代表の一員としてリオに乗り込む植田が数試合を欠場する見通しだからだ。彼の不在が痛いことは間違いないが、アントラーズCB陣の層の厚さはブエノが示した通り。さらにもう1人、負傷の影響や昌子と植田の好調により今季まだ出場機会のないファン・ソッコも良い選手だ。
これまでのところ、アントラーズにとっては守備をベースとしたチーム作りがうまく機能している。シーズンが進んで行く中で、その基礎が崩れてしまうことは考えにくい。
(取材・文:ショーン・キャロル)
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