2ndステージも気の抜けない戦いが続く
ステージ終盤は誰の目にも明らかなほどの足踏み状態があったが、昇格初年度のチームがいつも安定した力を発揮できるわけではない。ましてや磐田は元々、J1経験のあまりない選手が多く、けが人が続出するなどいくつかのアクシデントにも見舞われた。そうした中で勝点23を稼げたことは――もちろんポイントを取れた試合もあったかもしれないが――前向きに捉えられる。
「23という数字が多いのがどうかはわからないが、20から23に伸ばせたというのは非常に大きなこと。2ndステージに向けて、1試合1試合の重みというのが多少違ってくるかなと思う」
名波監督が言うように、ステージの最後に獲得した3ポイントは、希望と多少の余裕をチームにもたらすのではないか。もちろん気を緩めることは許されないが、嫌な流れを断ち切る意味でも、すぐに始まる後半戦へ勢いを持って入っていく意味でも、価値のある1勝だった。
2ndステージもギリギリの戦いが続くだろう。2度目の対戦ということで、どのチームも磐田のストロングポイントは把握済み。狙いどころも研究しているはずだ。高く保つ最終ラインの裏は標的となることが予想され、時間帯によっては全体を下げるなど割り切った対応も必要になる。ただ上げるだけの状態では狙い撃ちにされるだろう。
言い換えれば磐田も相手を知ることができた。J2とJ1の違いはシーズン前からわかっていたことではあるが、実際に目の当たりにしたことで、自分たちとその他17クラブの距離も測れたはずだ。
1stステージで勝点23を獲得したからといって、年間勝点が46になると思うなら、それは単純で甘い考えだ。だが、前半戦と同じくらいのペースでポイントを拾っていかなければ、第一目標の勝点40には到底たどり着けない。星勘定は意味がなく、あくまで目の前の試合を全力で戦う必要がある。その結果としてJ1残留を勝ち取れれば、磐田の2016シーズンは大成功と言えるだろう。
(取材・文:青木務)
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