GK2人が離脱も20歳の志村が台頭
シーズンが進むにつれて、磐田は少しずつけが人が増えていった。連続未勝利試合を3で止めたが、最後は総力戦で勝利を掴んだと言っていい。
今季のチームのメンバーリストを見ると、途中加入の元ギリシャ代表DFパパドプーロスを含め33選手が所属している。ポジション別に分けるとGK4人、DF10人、MF13人、FW6人となるが、現在は複数の選手が別メニュー調整を続けている。
2年目の清水貴文は肉離れ、プレシーズンで指揮官の心を掴んだ荒木大吾は右ひざを手術し、現在はリハビリ中となっている。さらに定位置を掴みつつあった小川大貴も右ひざを負傷し、全治6ヶ月と診断された。元日本代表の松井大輔は最近合流したが、3週間ほど離脱していた。
またストライカーのジェイもシーズン当初はゴールを量産したが、負傷による離脱が長引いてしまう。本来は左サイドのアタッカーであるアダイウトンを最前線に移して対応するも、2列目の人員不足に悩まされることになる。ボランチの山本をサイドで起用したり、貴重なスーパーサブとしてベンチにいてほしい松浦拓弥をスタメンからピッチに立たせるなど、名波監督もやりくりに苦心していた。
特に深刻だったのがGK陣だ。正守護神のカミンスキーは股関節痛で5月中旬から離脱。その穴を埋めるパフォーマンスを見せていたベテランの八田直樹も腰痛が悪化し、戦列を離れた。まさかの2人体制となるGK。しかし、こうした状況で著しい台頭を見せたのが高卒2年目の志村滉だ。
ヤマザキナビスコカップ・グループステージの鹿島戦でプロデビューを果たすと、同杯の名古屋グランパス戦でもゴールマウスを守った。いずれの試合も失点を喫して敗れたが、志村は安定感のあるセービングを披露。カップ戦で上々のパフォーマンスだったことで名波監督の信頼も得た。
そして、エコパスタジアムで行われたFC東京との一戦で初めてリーグ戦のピッチに立った。「全く緊張しなかった」という20歳の若者は、その言葉通りのプレーでゴールに鍵をかけた。後半には前田遼一、ムリキと一対一の場面を迎えるも、身を挺してストップ。元日本代表、そして元ACL得点王に仕事をさせなかった。