戦い続け、人びとを感動させるアイスランド
一方のアイスランドはスターティングイレブンをグループステージ3戦から変更せず、ラーシュ・ラガーベック監督(スウェーデン代表監督時代を含めてイングランドと5戦負けなしとなった)が作り上げた4-4-2のコンパクトな守備からのカウンターでイングランドまで撃破した。
ただ人を掛けて守るだけでなく、チームとして組織的に守備をし、カウンターやセットプレーでイングランドを脅かし続けた。後半はゴールを奪うことができなかったが、チャンスも作っていた。
アイスランドの戦いぶりは人々を感動させる。全員が走り切り、全員が球際で激しく戦う。試合終了直後に選手たちがサポーターのもちへ走っていき、それに応える拍手。スタッフ、登録メンバー全員とサポーターとのセレブレーション。サッカーというスポーツの素晴らしさを改めて感じさせてくれた。
準々決勝に進出したアイスランド。対戦相手はホスト国フランスだ。自分たちのスタイルを貫き通し、どこまで戦うことができるのか。興味は尽きない。
イングランドとアイスランドの今大会に向けたアプローチや監督が授けたチームとしての戦い方やプランニング、選手たちのモチベーション。アイスランドはすべてを含めた“チーム力”でイングランドを上回った。アイスランドの勝利は“偶然”などではなく“必然”だった。
(文:小澤亮太)
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